社員を殺すブラック企業「避難勧告が出ているので早めに出勤してください」

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この記事では会社について解説しています。学校についてはこちらの記事で取り上げています。

「早めに出勤してください」

関東甲信・東海・北陸・東北南部が梅雨入りしたと発表された6月7日(金)、一つのツイートが注目を集めました。

 広島に住んでいる方のツイートです。

 

会社から避難勧告が発表されているという内容の連絡でした。この時点で、会社側は避難勧告が発表されていることは知っていたことになります。

 

本来であれば

「避難勧告が出ていますので」

の後に続くのはこんな文章のはずです。

「安全な場所に避難してください」

「安全が確保できない場合は出勤しないでください」

「避難勧告が解除されるまで安全な場所にいてください」

 

しかし、この会社では

「早めに出勤して下さい」

というあり得ない文言が書かれていたのです。

 

“ので”とは普通「だから」という意味で使われます。この会社は「避難勧告が出たら避難」ではなく、「避難勧告が出たから早く来てください」という人命を軽視した判断をしたのです。

 

避難勧告は「全員避難」

避難勧告は災害が迫っているときに、対象地域の全員に速やかに避難するように促す情報です。2019年から導入された大雨の警戒レベルでは「レベル4」にあたります。レベル4は災害が発生する前に出る最も上のレベルです。つまり、いつ災害が発生してもおかしくない状況だったのです。

当時の広島県内の気象状況 

この時、広島県内は災害の危険が極めて高くなっていました。

 こちらが午前6時30分ごろの雨雲の様子です。黄色や赤といった、道路が川のようになったり、視界が悪くなるような強い雨が降っていたことがわかります。

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出典:気象庁

 

そしてこちらが、6時30分ごろの土砂災害の危険度です。紫色のエリアは、過去に土砂災害が発生した時に匹敵する極めて危険な状況になっている場所で、避難勧告発表の目安にもなっています。

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出典:気象庁 

命を落とす前に改善を!

今回の大雨では大きな被害は出ていませんが、あと少し雨が強かったら大災害になっていた可能性もあります。自然災害を前に人は無力です。それにもかかわらず、知識のない人たちの間違った判断で、社員を危険な目に合わせているのが日本の社会の実情です。日本は防災先進国といわれていますが、そんなことはありません。気象庁かや自治体からの情報を無視し続ける会社では、いつか必ず死者が出ます。その前に、防災の担当者がもう一度情報の意味を勉強しなおし、社員の命を最優先にした対策をとる必要があります。

 

どの情報が出た時にどれくらいの危険な状態なのかは、こちらの記事「5段階の大雨警戒レベル「レベル5=手遅れ」あなたはどう行動すればいいのか?」 で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。