松浦川が大雨で氾濫したら何が起きる?上流は2階が水没、下流では広範囲が浸水か

松浦川のハザードマップ

佐賀県を流れる松浦川が氾濫した場合、どのような被害が出るのでしょうか?九州の河川は、特に梅雨の季節を中心に氾濫が相次ぐ傾向があります。水害で命を落としてしまうことがないように、大雨によって松浦川が氾濫した場合の浸水想定を頭に入れておきましょう。

松浦川とは

松浦川は佐賀県北部を流れる一級河川で、武雄市から伊万里市、唐津市を通って日本海側の唐津湾へと流れています。その途中、厳木川や徳須恵川などと合流し、徳須恵川と合流したあたりから川幅が一気に広くなるのが特徴です。

大雨で氾濫したら?

松浦川の洪水ハザードマップ

こちらは、松浦川が氾濫した場合、どの範囲がどれくらいの深さまで浸水するかを示した地図です。松浦川流域で2日間に500ミリの大雨が降った場合を想定していて、上流から下流までのほとんどの場所で浸水被害が出る可能性があります。

この想定は1000年に一度クラスの、これまでに経験したことがないような記録的な大雨に襲われることを前提としているため、ここまでの被害となる可能性は、確率的にはあまり高くありません。

しかし、2018年に九州から東海の広範囲で記録的な大雨となり、11の府県に大雨特別警報が出された「平成30年7月豪雨(西日本豪雨)」や、2019年に千曲川や阿武隈川などの大規模河川が相次いで氾濫し、甚大な被害となった「東日本台風(台風19号)」、2020年7月に熊本県を流れる球磨川が大規模に氾濫した「令和2年7月豪雨」のように、ハザードマップで浸水が想定されていた場所と同じような範囲が浸水するケースもあります。

このようなことから考えると、松浦川の浸水も「まず起こり得ない」と考えるのではなく「今年起きるかもしれない」と考えておいた方がいいでしょう。

浸水の範囲は?

松浦川の氾濫の場合、想像もつかないような遠く離れた場所にまで水が到達することなく「川の近くが浸水する」と考えて差し支えありません。

松浦川、厳木川、徳須恵川ともに、上流部では川から1kmを超えて浸水することは無いと考えられています。川の氾濫は、上流の山間部に行くほど、浸水範囲が狭く、平野部を流れる下流部で浸水範囲が広くなる傾向があります。

下流部では、徳須恵川が合流してくるあたりから浸水面積が広くなり始めます。合流地点では、松浦川と徳須恵川に挟まれた地域が特に大規模に浸水する可能性があり、それより下流側では、右岸側で浸水面積が広くなる傾向があります。

浸水の深さは?

浸水の深さは上流ほど深くなる傾向があります。特に松浦川の上流では広い範囲で、5mを超える浸水が想定されています。5mというのは建物の2階が完全に水没する深さです。ここまで浸水の深さが深くなるのは、水の逃げ場が無いためです。

厳木川でも1階が水没する3m以上の浸水が想定されていて、一部では5mを超える可能性があります。徳須恵川でも広い範囲で3メートルを超える高さまで浸水する可能性があります。

下流部の浸水の深さは概ね0.5m〜3mですが、右岸側の一部で3mを超える浸水も想定されています。上流部に比べると浸水の深さは浅い傾向がありますが、それでも油断はできません。

 水害の歴史

松浦川は、過去に何度も氾濫しています。最近では1990年、1991年、1993年、2006年とかなりの頻度で氾濫していて、特に1990年の水害では、本流・支流が各地で溢れ、流出家屋3戸、床上浸水130戸、床下浸水422戸という甚大な被害となりました。

また、2019年8月28日に九州北部を襲った大雨でも氾濫が発生し、周辺の道路が完遂するなどの被害が出ました。

市町村ごとのハザードマップを見る方法

松浦川周辺の自治体は、HPなどでハザードマップを公表しています。先ほど紹介した浸水想定のほかに、どこに逃げればいいのかも記載されていますで、ぜひご活用ください。

武雄市の洪水ハザードマップ

武雄市のハザードマップ
出典:武雄市「武雄市WEB防災ハザードマップ」

武雄市のハザードマップは、Googleマップなどのように、自分で見たい範囲を拡大したり移動したりしながら閲覧できます。また、事前の備えや避難時の注意点などをまとめた冊子もありますので、こちらから確認してみてください。

ハザードマップ「たけおしぼうさい」

伊万里市の洪水ハザードマップ

伊万里市のハザードマップ
出典:伊万里市「Web版ハザードマップ(土砂災害・洪水・津波)」

伊万里市のハザードマップも、武雄市と同じように自分で操作しながら閲覧できます。また、市外の浸水想定も見ることが可能です。伊万里のハザードマップはこちらから確認できます。

ハザードマップ/伊万里市

唐津市の洪水ハザードマップ

唐津市のハザードマップ
出典:唐津市「防災マップ(ハザードマップ)」

唐津市のハザードマップはPDFで公開されています。地域ごとに、どんな被害が出るか詳しく記載されていますので、自分の地域を探して確認してみてください。唐津市の場合、洪水のほかに地震などのハザードマップも1つにまとめられていますで、どの災害による被害かに注意して閲覧してください。

防災マップ(ハザードマップ)について/唐津市

まとめ

松浦川では、多い時には数年に一度のペースで水害が発生しています。自治体などから出される避難情報や、気象庁から発表される大雨警報や洪水警報などに注意して、早めの避難を心がけてください。

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