「巨大」「高い」は非常事態!大津波警報・津波警報の意味を分かりやすく解説

大津波警報と津波警報の意味

「大津波警報」「津波警報」という言葉を聞いたことはあっても、その意味とどう行動すればいいかを完璧に理解している人は少ないと思います。津波警報は東日本大震災後の2013年に大きく変わったので、情報の意味を誤解している人もいるかもしれません。この記事では、大津波警報・津波警報・津波注意報の基本的な意味と、2013年に行われた改善の重要なポイントを解説します。

 

津波とは?

津波のことを「大きな波」と誤解している人もいますが、通常の波とは全く違います。普通の波は海面付近だけが動いていますが、津波は海面から海底までの全ての水が動きます。しかもスピードは陸地付近でも時速30km〜40kmもあります。分かりやすく例えると、プールの水面が波立っている状態が普通の波、プールの水全体が時速30km〜40kmで移動しているのが津波です。

 

津波の多くは海底にある活断層やプレートの境界で地震が起きることで海水が持ち上げられて発生しますが、海底火山の噴火や地滑りなどによっても発生することがあります。

津波情報の意味

※ここで出てくる津波の高さは沿岸での高さです。津波は斜面を駆け上がり、沿岸での高さの数倍の場所にまで到達することもあります。

 大津波警報 

大津波警報は3mを超える津波が予想される時に発表されます。3mを超える津波では、木造住宅はほぼ間違いなく全壊し、人は確実に津波に飲み込まれます。海や川の近くにいる人は、ただちに高台や津波避難ビルなどに避難する必要があります。

 

大津波警報では、予想高さは「5m」「10m」「10m超」の3通りで発表されます。5mと発表された場合に予想される津波の高さは3m〜5m、10mと発表された場合は5m〜10m、10m超と発表された場合は10mを超える津波が到達する可能性があります。

 津波警報 

津波警報は1m〜3mの津波が予想される時に発表されます。1mを超える津波では標高の低い場所で浸水被害が発生する可能性があり、人は確実に津波に飲み込まれます。大津波警報と同じく、海や川の近くにいる人は、ただちに高台や津波避難ビルなどに避難する必要があります。

 

津波警報では、予想高さは「3m」と発表されます。津波警報が発表された場合、沿岸には1m〜3mの津波が到達する可能性があります。

 津波注意報 

津波注意報は1m以下の津波が予想される時に発表されます。1mと聞くと安心するかもしれませんが、もし1mの津波に巻き込まれると人は自分の意思では助かることができません。海の中にいる人はすぐに陸に上がり、海や川から離れてください。

 

津波注意報では、予想高さは「1m」と発表されます。津波注意報が発表された場合、沿岸には20cm〜1mの津波が到達する可能性があります。

「巨大」「高い」は非常事態

通常、津波の予想高は数値で発表されますが、まれに「巨大」「高い」といった表現が使われることがあります。地震の規模がマグニチュード8を超えた場合です。

 

これは2011年3月11日の東日本大震災で津波の予想高さが、実際の津波高を大きく下回ったために導入されました。津波警報は地震発生から約1分間のデータをもとに地震発生の約3分後に発表しますが、断層破壊が3分を超えた東北地方太平洋沖地震では、地震の規模を正確に計算することができず、マグニチュード7.9の地震が発生したとして大津波警報・津波警報を発表しました。(実際にはマグニチュード9.0)

 

気象庁が津波警報を発表するために求めるマグニチュードは8を超えると信頼性が大きく落ちます。そこで2013年からは、マグニチュード8を超えると判断した場合、その海域で起こりうる最大クラスの地震が発生したと仮定して大津波警報・津波警報を発表することになりました。また、東日本大震災では津波の予想高さが「岩手3m・宮城6m・福島3m」だったことも、避難が遅れた原因の一つだとして、マグニチュード8を超える巨大地震が発生した場合には具体的な予想高さは発表せず、大津波警報は「巨大」、津波警報は「高い」と発表することになりました。

 

「巨大」「高い」という表現が使われたら非常事態です。また「巨大」「10m超」の津波が予想される場合には「東日本大震災クラスの津波がきます」という表現も使われます。このような表現が使われたら、これまでに経験したことがないような大災害が迫っています。ただちにその時避難できる最も高い場所に避難してください。

 津波警報には誤差がある

ここまで大津波警報や津波注意報の意味やその時とるべき行動を紹介してきましたが、最も重要なのは「津波の予想には誤差が含まれている」ということです。 津波の高さの予想は1/2~2倍程度の幅があります。例えば3mという予想であれば最大6mの津波が来る可能性がある、5mという予想であれば10mの津波が来る可能性がある、ということです。2011年の東日本大震災ではさらに高い津波に襲われましたが、今ではそこまでの誤報になる可能性はかなり低くなっています。しかし100%とは言い切れないので、津波警報や津波注意報が発表されたら、最悪クラスの津波が来ると仮定して避難してください。

まとめ

 大津波警報・津波警報・津波注意報の意味ととるべき行動、そして津波警報を見聞きしたときの注意点を紹介しました。津波は普通の波と違い凄まじい力で人や物を押し流します。一度だけでなく何度も押し寄せ、後から来る波の方が高くなることも多くあります。津波警報や津波注意報が発表されたら、ただちに高台や津波避難ビルなどのできるだけ安全な場所に避難するようにしてください。

 

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