西日本豪雨でも起きていた“正常性バイアス”

正常性バイアスとは?

正常性バイアスとは、無意識のうちに自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価してしまう人間の特性のことです。災害で犠牲になる人の多くがこの心理状態にあるとされています。

西日本豪雨の“正常性バイアス”

今回は、2018年7月の西日本豪雨の事例を紹介します。西日本豪雨でも各地で「正常性バイアス」とみられる考えや、行動が見られました。

倉敷市真備町

被害

最大で5mの高さまで浸水した岡山県倉敷市真備町では51人の方がなくなりました。こちらがその浸水の様子です。

真備町浸水域

2つの大きな川に挟まれている真備町は、過去にも繰り返し洪水による大きな被害を受けてきました。そして「川が氾濫したら2階まで浸水する」と言われていたにもかかわらず、多くの人が避難しませんでした。結果として犠牲者の8割が逃げ遅れ、自宅で犠牲になりました。

 

実は真備町が西日本豪雨前に公表したハザードマップとほぼ浸水域が一致していることも分かっています。

なぜ逃げなかった?

ではなぜ逃げなかったのか?被災地ではこんな声が聞かれました。

「避難勧告などが出ていたのはテレビを見て知っていたが、大丈夫だろうと思っていた」(85歳女性)

「避難勧告が避難指示に変わって、さすがに少しドキッとしましたけど……。それでも『ここは大丈夫だろう』と思い込んで、そのまま寝ました」(59歳男性)

広島県

続いて、特に土砂災害で大きな被害を受けた広島県、ここでも「正常性バイアス」とみられる心理状態がありました。

 

広島県では2014年に広島市北部の安佐北区や安佐南区を襲った大規模な土砂災害を教訓に避難勧告を発表するタイミングを見直し、今回の豪雨ではすべての現場で土砂災害が発生する前に避難勧告を発表しました。

 

それにもかかわらず土砂災害による犠牲者は87人にも上りました。実は避難勧告・避難指示が発表された地域の人のうち、実際に避難したのはわずか2%だったということです。

 

そして、ここでも「前回、ここまで土砂が来なかったから大丈夫だ」「砂防ダムができたから安心」といった声が聞かれました。

まとめ

岡山県、広島県で被害にあった人の多くは、決して今起きていることを理解していなかったわけではなく、何の根拠もないのに「自分は大丈夫」と考えていたことがわかります。同じように考えたことがある人もいるのではないでしょうか?一度、自分の思い込みを捨てて、避難を検討してみては?あなたの勇気ある決断が、家族や友達など大切な人の命を救うかもしれません。 

 

 

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