東日本大震災・西日本豪雨「正常性バイアス」なぜ人は逃げないのか?

 

災害が迫ると様々な情報が出ます。

大雨警報

避難勧告

津波警報…

このような情報を聞いたとき、あなたはどうしますか?過去に自分が住んでいる地域に避難勧告が出されたこともあるかもしれません。そんな時、「今回は大丈夫だろう」とか「自分は関係ない」と思いませんでしたか?そもそも、何も考えなかったという人も多いのではないでしょうか?

 

実はそれ、あなたの命を奪いかねない危険な心理状態なんです!

 

今回はこの「自分は関係ない」と考えてしまう理由をお伝えします。

 

正常性バイアス

正常性バイアスとは?

日常生活の中で、人は様々な「経験のない事態」に遭遇します。街中を歩いているとき、初めて見たものに、その都度敏感に反応していては、まともに生活できませんよね。

 

このように「いつもと違う」時に、人は無意識のうちに「これは正常な状態だ」と思い込み、ストレスを感じないようにしているのです。

 

この心理状態を「正常性バイアス」と言います。

 

日常生活の中では正常な反応ですが、災害時には、無意識のうちに「自分は大丈夫」「自分には関係ない」という間違った考えを生むため、非常に危険な心理状態とも言えます。

過去の災害でも...

この危険な心理状態「正常性バイアス」、実は過去の災害でも繰り返されてきました。その中からいくつかの具体的な例を紹介します。

平成30年西日本豪雨

実は2018年7月に西日本各地を襲い200人を超える死者を出した西日本豪雨でも「正常性バイアス」が見られました。100人以上がなくなったし広島県では避難勧告・避難指示(緊急)が発表された地域の中で避難したのはわずか2%にとどまっていたとみられています。また小田川の堤防が決壊し大規模に浸水した岡山県倉敷市真備町では犠牲者の8割が屋内で犠牲になって、「逃げ遅れ」によるものとみられています。広島県、岡山県の被害は共に、概ね想定の範囲内でした。

御嶽山噴火

2014年の9月27日に発生し死者・行方不明者が63人に上った御嶽山の噴火では、犠牲者の多くが噴火後も火口付近にとどまり噴火の様子を撮影したことがわかっています。中には噴火から4分後に撮影した記録が残るカメラもありました。

東日本大震災

2011年3月11日に東北地方を襲った巨大津波では宮城県石巻市の大川小学校で児童74人が犠牲になりました。この事例も「正常性バイアス」によるものとみられています。消防車が「堤防を壊して津波が来ている。高台に避難を!」とアナウンスしながら逃げてきたにも関わらず、大川小学校の校庭に避難している人たちの中では「ここまで来るわけないでしょ」といった会話があったという証言もありました。

どうすれば?

ここまで読んできて「どうしようもない」と思っているかもしれません。事実、まだ「正常性バイアス」に対する対策は確立されていません。ここで覚えておいてほしいのは「人は身近な人からの呼びかけが届きやすい」ということです。災害時、あなたが危機感を持っているのであれば勇気をもって家族や知り合いに避難を呼びかけてください。  

 

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