人が死なない防災

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大雨特別警報は大災害発生後に発表されるという衝撃の事実

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2018年7月の西日本豪雨や2019年の台風19号による大雨でも発表された“特別警報”。言葉は聞いたことがあっても、実際どんな意味の情報かを正しく理解している人は少ないのではないでしょうか?特別警報の発表基準をわかりやすく解説します。

 

特別警報と警報の違い

警報とは

台風やゲリラ豪雨などで毎年のように発表される大雨警報や暴風警報の意味からおさらいします。警報は「重大な災害が発生する恐れがある時」に発表されます。重大な災害というのは死者が出るような災害のことです。警報は比較的頻繁に発表されるため、もっと軽い意味合いで捉えていた人もいるかもしれませんが、実は警報が出た時点でかなり危険な状況です。

特別警報とは

特別警報は警報の基準をはるかに上回るような大雨や暴風、高波、高潮になっている、または予想される時に発表される情報で、気象庁が発表する最も上の警報です。具体的にはその地域で数十年に一度の、今まで経験したことがないような大雨や暴風などが予想されるときに発表されます。特別警報が発表されたときにはすでに大規模な災害が各地で発生している可能性が極めて高く、特別警報が発表されてからの避難は手遅れになっている可能性が高いです。

特別警報ができた理由

では、なぜ特別警報というものができたのでしょうか?特別警報が作られるきっかけになったのが2011年の紀伊半島豪雨です。2011年は3月に東日本大震災が発生していたため、9月に発生した紀伊半島の大水害はあまり覚えていない人も多いかもしれません。

 

紀伊半島豪雨とは2011年8月末から9月上旬にかけて西日本を襲った台風12号によってもたらされた大水害です。紀伊半島はもともと雨量が多い地域でしたが、この時は奈良県や和歌山県、三重県の広い範囲で1000mmを超える記録的な大雨となり、山間部では2000mmを超える未曾有の大雨でした。

 

しかし、この雨量がどれほど危険なのか自治体や住民には正しく伝わりませんでした。この時の気象庁が発表した情報の見出しがこちらです。

 

9月1日午後5時19分

土砂災害や浸水害、河川のはん濫に警戒

大雨警報(土砂災害)が発表されたことを受けての情報。この時の24時間予想量は500mm。

 

9月2日午後0時00分

土砂災害や浸水害、河川のはん濫に厳重に警戒

土砂災害警戒情報が発表されたことを受けての情報。この時点までの総雨量は498.5mm(奈良県下北山村)。今後の24時間予想量は700mm。

 

9月2日午後5時10分

土砂災害の危険度が高い状態 厳重に警戒

大雨警報(浸水害)が発表されたことを受けての情報。この時点までの総雨量は688.0mm(奈良県下北山村)。今後の24時間予想量は800mm。

 

9月3日午後5時28分

引き続き土砂災害や浸水害、河川のはん濫に厳重に警戒

各地で24時間雨量や72時間雨量が観測史上1位を更新。この時点までの総雨量は1331.0mm(奈良県下北山村)。今後の24時間予想量は500mm。

 

9月3日午後11時37分

引き続き土砂災害や浸水害、河川のはん濫に最大限の警戒

各地でさらに猛烈な雨が降ると予想。この時点までの総雨量は1516.5mm(奈良県下北山村)。今後の24時間予想量は400mm。

 

9月4日午後5時15分

記録的な大雨となっており、土砂災害、洪水の危険性が非常に高い 土砂災害、河川のはん濫に最大級の警戒

この時点までの総雨量は1808.5mm(奈良県下北山村)。今後の24時間予想量は100mm。

 

気象庁はこのような情報を発表しましたが、普段とは全く違う異常事態が起きている事を 的確に伝えることができませんでした。実際、被災自治体からは、雨量だけを知らされても、それがどの程度危険なのかが分からない、といった指摘もありました。

 

そこで2014年、気象庁は数十年に一度のこれまでに経験のないような大雨になっている事を伝える「特別警報」を新設しました。

特別警報はどんな時に発表される?

特別警報の発表基準は大きく分けて3種類あります。1つ目が「大雨を要因とするもの」、2つ目が「台風や温帯低気圧を要因とするもの」、3つ目が「大雪を要因とするもの」です。

大雨を要因する特別警報

最も発表頻度が高いのがこの「 大雨を要因とする特別警報」です。2018年の西日本豪雨や2017年の九州北部豪雨、2015年の関東・東北豪雨で発表された特別警報がこれに当たります。

 

大雨を要因とする特別警報の発表基準がこちらです。

①48時間降水量及び土壌雨量指数において、50年に一度の値以上となった5km格子が、共に50格子以上まとまって出現。

②3時間降水量及び土壌雨量指数において、50年に一度の値以上となった5km格子が、共に10格子以上まとまって出現(ただし、3時間降水量が150mm以上となった格子のみをカウント対象とする)。

 

①または②を満たすと予想され、更に雨が降り続くと予想される

気象庁

 

 わかりやすく言うと

 

気象庁が各地域で定めた48時間降水量の50年に一度の値(下の画像)を超えた5km四方のエリアが50個以上現れた時

 

または

 

3時間降水量の50年に一度の値(下の画像)を超えた5km四方のエリアが10個以上現れた時

 

に発表されます。

 

気象庁が定めた「50年に一度の値」はこちらからご覧いただけます。 

雨に関する50年に一度の値を府県予報区ごとに地図上に色分けした図

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雨に関する各市町村の50年に一度の値一覧

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台風や温帯低気圧を要因する特別警報

続いて台風や温帯低気圧を要因とした特別警報です。この特別警報はこれまでに沖縄県に2回発表されたのみで、本州に発表された例はありません。

 

この特別警報の発表基準がこちらです。

「伊勢湾台風」級(中心気圧930hPa以下又は最大風速 50m/s以上)の台風や同程度の温帯低気圧が来襲する場合に、特別警報を発表します。ただし、沖縄地方、奄美地方及び小笠原諸島については、中心気圧910hPa以下又は最大風速60m/s以上とします。

気象庁

 温帯低気圧も同じように中心気圧が930hPa以下又は最大風速 50m/s以上であれば特別警報が発表されます。この時発表される特別警報は「大雨」「暴風」「波浪」「高潮」「暴風雪」のいずれか、または複数です。

大雪を要因する特別警報

最後が大雪を要因とする特別警報です。これまでに経験のないような大雪になっている時に発表される情報です。これまで発表されたことはありません。

府県程度の広がりをもって50年に一度の積雪深となり、かつ、その後も警報級の降雪が丸一日程度以上続くと予想される 場合に、大雪特別警報を発表します。

気象庁

 気象庁が定めた「50年に一度の積雪深」はこちらからご覧になれます。

各地の50年に一度の積雪深と既往最深積雪深一覧

 

50年に一度の積雪深の値を地図上に色分けした図

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まとめ

このように、特別警報は普段の災害とは桁違いの大災害が起きている時に発表されます。特別警報を待っていては命を落としてしまう危険があります。絶対に特別警報を待たず、特別警報が発表された時には安全な場所に避難し終わっているようにしてください。