こんな疑問を持ったことありませんか?
震度1、震度2、震度3、震度4ときていきなり
震度5弱、震度5強…
なぜ急に「弱」「強」がつくようになるのでしょうか?
そのまま
震度5弱→震度5
震度5強→震度6
震度6弱→震度7
震度6強→震度8
震度7→震度9
ではダメなんでしょうか?
今回はこの震度の「弱」「強」について解説します。
1996年までの震度
震度はもともと
震度0
震度1
震度2
震度3
震度4
震度5
震度6
震度7
の8段階でした。
現在のように「5弱」「5強」などとややこしい表現はなく、とてもシンプルでした。
そもそも震度とは計測震度と呼ばれるものをわかりやすく置き換えたものです。
計測震度
計測震度 〜0.4 → 震度0
計測震度 0.5〜1.4 → 震度1
計測震度 1.5〜2.4 → 震度2
計測震度 2.5〜3.4 → 震度3
計測震度 3.5〜4.4 → 震度4
計測震度 4.5〜5.4 → 震度5
計測震度 5.5〜6.4 → 震度6
計測震度 6.5〜 → 震度7
1996年まではこのように単純に四捨五入しただけのとても分かりやすい表現でした。
震度階級の変更
しかし、大きな転機が訪れます。
それが、1994年の三陸はるか沖地震と、1995年の阪神・淡路大震災です。この2つの地震を簡単に説明して起きます。
三陸はるか沖地震
1994年12月28日午後9時19分に三陸沖(青森・岩手の沖合)で発生したM7.6の大地震で八戸市を震度6、青森県むつ市、青森市、岩手県盛岡市を震度5の揺れが襲い3人が死亡しました。
阪神・淡路大震災
1995年1月17日午前5時46分に発生したM7.3の大地震「平成7年兵庫県南部地震」によって引き起こされた大災害で、死者・行方不明者は6,434人に達し、2011年に東日本大震災が起きるまでは、戦後最悪の地震災害でした。1981年に改正された耐震基準を満たしていなかった建物で被害が相次ぎました。
この2つの大地震では同じ震度5の地域でも被害が大きく異なると言った現象が相次ぎました。震度6のエリアでも同様に被害の大きさに違いが見られました。
このように同じ震度でも被害が大幅に違うと言った事態が起きると、被害情報の把握や救助活動の遅れに繋がってしまうため、より被害に即した震度に変更されました。しかし震度というのは、先ほども書いた通り、計測震度をもとにしているため、これ以上細分化すると、計測震度と一般に発表されている震度の数字が合わなくなってしまいます。そこで震度5の範囲と、震度6の範囲をそれぞれ半分に分け「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」としました。
計測震度と新しい震度
計測震度 〜0.4 → 震度0
計測震度 0.5〜1.4 → 震度1
計測震度 1.5〜2.4 → 震度2
計測震度 2.5〜3.4 → 震度3
計測震度 3.5〜4.4 → 震度4
計測震度 4.5〜4.9 → 震度5弱
計測震度 5.0〜5.4 → 震度5強
計測震度 5.5〜5.9 → 震度6弱
計測震度 6.0〜6.4 → 震度6強
計測震度 6.5〜 → 震度7
こうして1996年、「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」という新しい震度階級が誕生しました。
今では
震度5弱
固定していない家具が移動する
震度5強
固定していない家具は倒れることがあり、補強していないブロック塀も倒れることがある。急に被害が大きくなり出す。
震度6弱
固定していない家具の大半が倒れ、耐震性の低い建物は傾いたり、中には倒壊するものもある。
震度6強
はわないと動くことができず、飛ばされることもある、耐震性の低い建物の多くが倒壊し、大規模な土砂崩れや山体崩壊が発生することもある。被害が一気に深刻になる。
というように震度を聞いただけである程度の被害の状況がイメージできるようになりました。
以上が震度に「弱」「強」という表現ができた経緯でした。