予想1m、実際には4mの津波 2016年福島県沖地震 津波警報はなぜ外れた?

 

2016年11月に福島県沖で発生した地震では宮城県の津波の予想高さが1mだったにもかかわらず、実際には現地調査で最大4mの津波が起きていたことがわかりました。東日本大震災以降、津波の過小評価対策が取られてきたはずでしたが、なぜこのような事態になってしまったのでしょうか?

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津波警報の発表状況

2016年11月22日朝早く、福島県沖を震源とするマグニチュード7.4の大きな地震が発生しました。この地震によって福島県に予想高さ3mの津波警報が出されたほか、青森県から千葉県にかけて予想高さ1mの津波注意報が発表されました。

 

予想到達時刻を大きく過ぎても、津波警報の基準に達する津波は観測されず、予想はおおむね的中したと思われました。

 

しかし、地震発生から2時間以上が経過した午前8時すぎ、予想高さ1mだった宮城県で1.4mの大きな津波が観測されたのです。気象庁は急遽、宮城県に予想高さ3mの津波警報を発表しましたが、すでに最大波が到達した後でした。

なぜ予想は外れた?

津波の高さの予想はなぜ外れたのでしょうか?この原因は気象庁の津波警報を発表システムにありました。

 

津波警報は地震発生後約3分で発表されます。これは1993年の北海道南西沖地震の際の津波到達が地震発生の3分後で津波警報が間に合わなかったためです。

 

現在の最新技術を用いても3分以内に津波のシミュレーションを行うことはできません。そこで気象庁は日本周辺の1500か所について深さ6通り、地震の規模4通りのシミュレーションを事前に行っていて、地震発生から3分で求めた地震の規模や震源の位置から、もっとも近いシミュレーション結果を使用して津波警報を発表しています。

 

ここで最も重要なのは、実際に発生した地震が「津波予報データベース」の中に存在しなかった場合、正確な予測を出すことは困難だということです。2016年11月22日の福島県沖地震がまさにこのケースでした。福島県沖の地震のシミュレーションも存在していましたが、“断層の向き”が違っていたため予想が外れてしまったのです。

 

データベースの中のシミュレーションでは、南北に伸びる断層を想定していたため、福島県で最も津波が高くなるとされていましたが、実際に発生した地震は北東ー南西方向に伸びる断層でした。その結果、津波が陸に対して斜めに押し寄せ、沿岸で反射した津波が宮城県へと回り込み、宮城県に予想以上の津波が押し寄せたのです。

まとめ

気象庁は津波の高さを過小に予測したことを受けて、新たに2000通りのシミュレーションを追加しました。しかし、自然災害の予測に“絶対”はありません。また外れる可能性も十分にあります。津波警報、注意報には誤差がつきものだということを忘れずに、常に「もしこの予想が間違っていたら」と最悪の事態を想定して行動するようにしてください。

  

 

 

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