爆発的に延焼する「フラッシュオーバー」とは何なのか?

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火災の状況が一瞬で悪化する「フラッシュオーバー」と呼ばれる現象があります。この現象を知らないと、誤った判断で命を落としてしまうかもしれません。

フラッシュオーバーとは?

「フラッシュオーバー」には明確な定義はありませんが、一般的に数秒~数十秒の極めて短い時間に局所的な火災から大規模な火災へと発展する現象を指します。

 

フラッシュオーバーは火災が発生してから時間がたっておらず、まだ延焼していない段階でおきやすく、過去の事例でも消防隊員が建物の中に救助に入っているタイミングや、建物の中で消火をしているタイミングで発生しています。

 

局所的な火災によって天井などが熱せられ、そこから出る放射熱(熱が電磁波として運ばれる現象)がすでに発生している炎や燃えやすい物を熱し、急速に延焼し大規模な火災となります。この際温度は通常の火災の2倍の1000℃を超えることもあります。

「フラッシュオーバー」過去の事例

ここからは過去に実際に発生した「フラッシュオーバー」の事例を紹介します。

1982年 ホテルニュージャパン

1982年2月8日に東京都千代田区のホテルニュージャパンで発生した大火災(死者33人)でもフラッシュオーバーが発生したとみられています。この火災でフラッシュオーバーという名称が広く知られるようになりました。この火災では宿泊客の救助に当たっていた消防士が爆発的な延焼「フラッシュオーバー」に巻き込まれ、のどに大やけどを負いました。幸い、直後に水を飲んだため、大事には至りませんでした。

2007年 アメリカ

2007年6月18日にアメリカ・サウスカロライナ州の大型家具店で火災が発生しました。この火災で建物の中に閉じ込められた従業員を救出するために消防隊員が建物の中へと入りましたが、扉を開けた際などに大量の酸素が流れ込み火災が拡大、さらに天井などが燃えやすい素材でできていたため、消防隊んが中に残っている状態で「フラッシュオーバー」が発生し、建物の一部が倒壊、9人の消防士が殉職しました。

まとめ

2019年1月22日にも秋田県でフラッシュオーバーが発生したとみられ、2人の避難誘導に当たっていた2人の消防隊員が殉職しました。「フラッシュオーバー」への対策をとることはあまり現実的ではありません。しかし、火災が発生してから「フラッシュオーバー」が起きるまで少なからず時間があります。火災が発生しているときには、絶対に建物の中に入らないようにしましょう。まだ燃えていなくても一瞬で火災が広がる可能性があります。 

 

 

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